第50回 修験道の道を行く

女将の内緒話も記念すべき50回(何年かかっているの!)になりました。
今回は50回を記念して大奮闘をしてきました。

日光は修験者が歩いた道が大変多いところで、現在は道が無くなっているところもありますが、今でも歩くことが出来るルートも数多くあります。
その中でも以前から気になっていたコースが、中禅寺から古峰ヶ原に抜けるコースなのです。
山地図を見ると、10時間近くかかる長丁場のルートなので、丸一日歩く覚悟で、紫雲荘を2日休んで出かけることとなりました。

この日の天気は曇りのち雨(雷?)古峰ヶ原付近は雷が多いことで有名なので、早く出かけることにしました。
中禅寺温泉のバスターミナル付近に車を駐車し、レークサイドホテルの向かいにある登山口から、茶ノ木平に向かって出発です。
小鳥のさえずりと、立木観音の鐘楼の音色(6時に鳴ることを初めて知りました)を聞きながら40分。以前はロープウェーの駅があった山頂に到着です。

ここで凄いものを発見!平地の真ん中に立っている大きな木に、赤いきのこがびっしりと付いています。
マスタケ(栃木県ではムセッタとも言います)というきのこで、フライや味噌炒めにすると美味しいきのこです。

マスタケ
マスタケ

ちょうど今が採り頃ですが、ここからの長丁場を考えると、採取は無理。諦めて朝御飯にします。あー、また箸を忘れた!木の枝箸だ(泣)

枝箸
枝箸

お腹がいっぱいになったところで出発です。
茶ノ木平では頂上が見えていた男体山も、みるみるガスが撒いてきて、薄暗くなってきました。

男体山
男体山

ちなみに妹と二人連れです。それでも思っていたより道がしっかりとしていて、テープはあまりありませんが、笹が刈ってあるので道迷いの心配はなさそうです。

修験道
修験道

少し歩くと篭岩という大きな岩と石仏がある所に出ました。ここが修験道だったことが偲ばれます。
霧の中で少々朽ちてきている仏様は何とも神秘的でした。

篭石
篭石

ただひたすら下ります。やっと鉄塔が見えてきました。細尾という日光の町が近いようです。
さらに下ると、細尾峠(足尾に抜ける旧道)に出ます。500メートル近く下った計算です。
この後は薬師岳に登り返しです。霧が少し晴れると、古河電工の工場が見えたりします。
今まであまり気にしなかった山ですが、私の中で、ちゃんと名前のある山になりました。
山頂にはお不動様が奉られていて、新しいピカピカした剣を持っていました。
最近どなたかが奉納したのでしょう。

薬師岳
薬師岳

そしてまた、上り下りを繰り返すと、夕日岳の入り口です。この頃には霧が濃くなって、あたりは真っ暗な状況。
「夕日岳行っても何も見えないし、熊の○○チも新しいのがあるし、やめよっか。」と意見が一致して、スルーすることになりました。
その後、コースは地蔵岳の頂上を通って行きます。
可愛らしいお地蔵様の祠があります。体の大きさに比べて頭が大きいのが愛嬌がありますねぇ。

地蔵岳
地蔵岳

ここからはずーっと下り。林道歩きも含めてずーっと下りです。途中、沢を渡ったりしながら、ひたすら2時間近く下って、やっと人里に出ました。
今日初めて聞く、妹以外の人の声です。膝と太ももがパンパンだー。
座りたいけど、まずは古峰ヶ原神社にお参りして、修験道の道が完結です。

古峰ヶ原神社
古峰ヶ原神社

鹿沼市ですよ。高校生の時、私が家から公共交通機関で通うことができなくて、下宿していた町なのに、歩いてきちゃったよ。
お茶屋のおばさんも、奥日光から歩いてきたと言ったら、座ってお茶飲みな、と言ってくれたけど、パンツはドロドロ、鹿沼駅行きのバスもそろそろ出るところなので、ソフトクリームだけ買って出発しました。

バスでは気持ちよく睡眠していたら、高齢のドライバーさんの運転が遅くて、乗れるはずの日光行きの電車をタッチの差で逃してしまいました。
新鹿沼駅で1時間ボーっとして、懐かしい母校の後輩たちと電車待ち。
日光駅からは路線バスに乗り換えて中禅寺温泉まで行き、駐車してあったマイカーで帰りました。帰宅は6時半。長い一日だぁ。

日光の駅で、いかにも登山者風の出で立ちなので、日光在住と思われるご夫人に、「これからどこに登るの?」と聞かれました。
「いえ、朝、奥日光を出発して、古峰ヶ原まで歩いて、これから奥日光に帰るところです。」と答えたら、びっくりされました。
「奥日光から鹿沼へ?」そういう地元の人間の常識を超えた道ですけど、興味がある方は是非。熊鈴必携!