第57回 奥日光冒険部 古道を歩こう!
5月、山々が新緑で輝いてきましたので、連休をとらせていただいて、以前から気になっていた半月道(深沢古道)を歩いてきました。
この道は2万5千分の1地図には道が書かれていますが、登山地図には載っていない、ちょっと不安な道なので、ほかの方のブログなどで調べたところ、比較的迷わなそうな道なので、私、妹、犬で挑戦することとなりました。
まず2台の車で出発し、1台は中禅寺湖スカイラインの入り口に駐車します。1台に乗り換えて足尾に出発です。
足尾、間藤駅の近く、昔は住居が沢山あったであろう深沢住宅跡が出発点です。今でも残る石組みや、公園跡のツタが絡まった滑り台、鉄棒などが明治から昭和初期の銅山の賑わいを語っているようです。
しばらく深沢林道を歩きます。林道の終点から深沢を渡渉して、その後はしばらく沢沿いを歩いていきます。沢は比較的緩やかで水がとてもきれい!沢登りが楽しめそうです。そしてあちこちに当時の石組みと使っていたであろう朽ちた木の橋があります。
登山道にある道標やテープはあまりありませんが、沢沿いの道は「火の用心」の札がずっとついていて、これを辿っていけば間違いありません。犬が張り切るので、林道終点から40分。1時間かかると思っていた「深沢雨量観測所」に着いてしまいました。
ここには立派な石垣と石灯籠があります。この道に5軒あった茶屋のうちの「一の茶屋」跡です。他の方のブログを見なかったら見逃してしまったであろう3体の石仏が石垣の手前奥にひっそりと鎮座していました。
古道を歩くと、今は人が歩くこともめったにない道を守り続けている仏様に胸が熱くなります。日光を取り巻く山々は、いつも祈りに満ちていると感じずにはいられません。
古道のあちこちにシカやカモシカの死骸があります。最初は匂いをかいで興味津々だった犬も、あまりたくさんあるので、そのうちスルーするようになりました。山奥なんですね。
植林地を過ぎ、急こう配の七曲りを過ぎると舗装された林道に出ました。時々砂利道になりますが、この日は東京が真夏日になる暑さ。アスファルトの照り返しが拷問状態。何でこんなところに林道を作るんだ(怒)バテバテでペースが上がらず、泣きながら歩きました。
でも、日当たりがいい。イコール見晴らしがいい。後方に皇海山、鋸山、庚申山、美しいシルエットが見事です。
やっと地獄の林道が終わり、今度は笹原歩きです。リボンも所々にはついていますが、まずまずの踏み跡がついています。お昼を過ぎたのでお昼と思ったのですが、笹原ばかりでいい場所が見当たりません。登山道のわきに大きな岩があったので、ここでお弁当にしました。
ここからは雪が残る白根山が見えます。奥日光が近くなったなぁと思いながらおにぎりを食べていると、妹が横を見ろと言います。座っている岩の横に目を移すと・・あ、山の神様が!そうとは知らずにごめんなさい。落ち着く所だと思ったら、山の神様が見守っていました。
笹原歩きが続きます。今度は犬が動かなくなってしまいました。暑かった林道歩きとやぶ漕ぎでダウンです。平たい石の上に寝そべって目を閉じてしまいました。しょうがないので暫く休憩です。初めての長距離行で疲れたね。ごめんなさい。すぐ近くに中禅寺湖スカイラインの駐車場と展望台があるので、人の声が風に乗って聞こえてきます。あと少しと犬を励まし、所々崩落した笹原の斜面を進みます。
このあたりからは目印がなく、踏み跡を丁寧に辿ります。道も片側が切れ落ちていて、かなり細いので注意しますが、こんなところにも昔の石積みがあったりします。
目の前に半月峠の案内版が見えてきました。やった~。ここからは整備されたハイキングコースを下るだけです。
犬は突如として元気になり、すごい速さで下るので、あっという間に狸窪に到着です。
今まで気が付かなかったのですが、このハイキングコースにも昔の石組みがたくさんあるのです。昔の中学生はここを歩いて日光に来たのですね。健脚というか、雨の日だってあっただろうし、凄いなぁ。結構長距離で歩きがいがあるコースでした。
いつか朽ちていくであろう道ですけど、昔の人の営みを感じ、祈りを感じながら歩けたことは、少しは道のお役に立てたかな、と思う冒険部でした。